無(最高の状態)
自己を薄めて無の状態を保てたら物の見方がフラットになるかもね!
認知の歪みは起きないかもね!
それじゃあ無になる為の方法を紹介するよ!!
という内容の本。
自分だけでなく他人の思考の流れが学べる。
本書で紹介されているワークをやらなくても感情のメカニズムを把握するだけでも考え方が柔軟になるかも。
人間は皆ネガティブである
Q.そもそもネガティブとは?
A.自分のニーズが満たされていない「不足」や危険を知らせるメッセンジャー。
ネガティブ自体は「悪」ではないが、これを拗らせる事で問題が起こる。
原始時代の生活ではネガティブな感情(危険、不安、恐怖など)に敏感な人ほど
生存率が上がっていた。
その為、脳がこういった情報に意識を向けやすいように刷り込まれている。
つまり人間はデフォルトでネガティブ仕様になっている。
日常生活においても悪い想像は大抵杞憂で終わる事が多い。
実際に心配事が予想より悪く終わるケースは約3%(1)
「ネガティブ」は元々、生存における警戒システムのような重要な役割であったが、
安全が増した現代ではうまく働かなくなってしまった。
▼ 警戒システムとしての例
・怒り…自分にとって重要な境界が破れたことを知らせる
・嫉妬…重要な資源を他人が持っていることを知らせる
・恐怖…すぐそばに危険が存在する可能性を知らせる
・不安…良くないものが近づいていることを知らせる
・悲しみ…大事なものが失われたことを知らせる
・恥…自己イメージが壊されたことを知らせる
脚注(1):類似の研究は各所で行われているが本書では最も有名なものとして
ワイルコーネル医科大学のロバート・L・リーヒらが行った研究例が挙げられてる。
Robert L.Leahy.The Worry Cure: Seven Steps to Stop Worry from Stopping You (2015)
ISBN 9781400097661
一の矢(起こった現実)を6秒間だけ受け止める
Q.ネガティブと上手く付き合っていくには?
A.ダメージを最小限で留め拗らせない事。
反芻思考は「苦」を拗らせる大きな原因となる。
正確な状況把握やどう対処すべきかなど目の前の出来事に意識を向けさせる事が重要。
実際にプリマス大学の実験(2)にて、被験者にお菓子やニコチンなど好きな物を
思い浮かべさせ欲望を掻き立てた後、3分間テトリスをプレイさせた。
するとテトリスをプレイしていない被験者と比べ渇望レベルが24%減少した。
これは前頭葉が起動する時間が4-6sであり、更に10-15mでアドレナリンやノルアドレナリンの影響は弱まるという事実に当てはめたものである。
つまり6s耐えれば一の矢(起こった現実)の痛みは落ち着き、
別の事に意識を向ける事でネガティブな感情レベルが低下する。
脚注(2):Skorka-Brown J,Andrade J,May J.
Playing 'Tetris' reduces the strength, frequency and vividness of naturally occurring cravings.
Appetite.2014 May;76:161-5. doi: 10.1016/j.appet.2014.01.073.Epub 2014 Feb 5.
PMID:24508486.
全ての問題は自己にたどり着く
※自己についての解釈は科学の世界でも議論が多く一貫していないが本書の定義は以下。
Q.自己とは?
A.機能の集合体
実際には手足や目鼻口などの器官と位置づけは変わらない。
環境によって自己は変容するものであり、元々唯一の「わたし」など存在しない。
よって自己が薄まる、消失する事は珍しい事ではない。
そんな曖昧な物である為「ありのままの自分でいよう」「自分らしく生きよう」
といった当世風なアドバイスを実践するのは困難な事である。
Q.メンタル強化や人間力を高めるにはどうするの?
A.自分の思考の癖を把握しよう
強メンタルの人の思考を学ぼう
思考の癖を理解するにあたって、コロンビア大学の心理学者ジェフリー・ヤングらが考えた
18種類の思考パターン(3)が紹介されている。
長いけどめっちゃ面白いのでざっくり書きます。
本書では原因等の解説も載ってるんですが、ここでは割愛。
大体は幼少期の体験や周りの環境等、後天的要因が大きいっぽい。
1. 放棄
親密な人たちを完全に信頼出来ず、捨てられる不安が付き纏っている。
親しい相手との関係にしがみついたり他人をコントロールしようとする依存系スタイル。
一方で他者が離れていくのが不安で感情や欲求を隠したり、見捨てられるのを恐れて他の人と一切関わらない場合も。
2.不信
他者への不信を常に抱き続ける。
騙されるかもしれない、損をするかもしれないなどの過度な疑心暗鬼。
警戒心が強く、自分の事を話そうとしない。
不信感が募り過ぎて何もしていないのに攻撃してくる傾向も一般的によく見られる。被害妄想強めの鉄壁ガードマン。
3.剥奪
最も一般的な悪法。
自分が求める感情的なサポートを得られないという感覚を持つ。
いつも何かが欠けているような気がするが、何が欠けているのかわからない。満たされない孤独感。
デメリットは相手に過剰な愛情を向ける。
又は逆に親密な人間関係を築こうとしない。
4.欠陥
自分はは劣っている、不完全であると考える。
自己批判するなど所謂自己肯定感が低いタイプ。
他人からの批判や拒絶を恐れたり、評価される事を嫌う。
人と接する際には自意識過剰になりやすく、ミスに対して深い羞恥心を抱きやすい。
また自分のミスを知っている人との付き合いを避ける。
5.孤立
周囲に溶け込めない、いつもグループの外側にいる、歓迎されていないという感覚を持つ。
他人を完全に避け、自分からは話しかけない。
閉じたコミュニティの中でだけ威勢がいい。
他人の世話をし過ぎて疎まれる。
6.無能
日常のトラブルに対処できない、誰かが居ない生きていけない。
人の助けを求めがちな依存スタイル。
自分には常識が無いと感じたり、トラブルへの過剰反応、先延ばし癖などが問題視される。
自己肯定感と決断力が低い。
7 .脆弱
悪いことが起こるかも、私は病気かもしれない、地震ですべてを失うのではないか、などの不安や恐怖が強い。
目立ったリスクがなくてもそこから危険を見い出そうとする心配性。
不安障害や鬱病の原因になりやすい。
安心するために何度も他人に意見を求める。
8.未分
他者のニーズや感情にばかり目が行き、自らのことが疎かになりがち。
他人が落ち込むと自分も落ち込み、相手が喜べば自分も喜び、相手の失敗にも自分が失敗したかのような感覚を抱く。
ひとりで過ごすのが苦手。
9.失敗
仲間より失敗している、自分の能力に自信が持てないなど絶望感や抑鬱感を抱きやすくなる。
挑戦を避けたり仕事を先延ばしにする。
ワーカーホリックになる事も。
「4.欠落」の亜種っぽい。
10.尊大
自分は他人よりも優秀で特別な権利を得る資格があると考える。
自分の欲求を満たすために他人を支配する。
極度の競争心、利己的な行動、ルールの無視など。
一方で根本的な自信のなさもあり、批判に対し過度に反応する。
他人からの批判や拒絶を受け入れられない。
間違いを認められない。
11.放縦
何かを始めた途端に興味がなくなる。
集中力を維持するのが難しい。
全18個の中で1番の変わり種。
思考の仕方ではなく脳の作りの問題。
前頭前野(脳のブレーキ部分)の働きが弱い。
不快な感情を耐えるのが苦手。
エネルギーがありすぎて生産的な事に使うのが難しい。
ADHD(多動)が該当するかも。
12.服従
自分の意見を言うのが苦手で感情を表に出さない。
感情を出さないので相手に見下されている、利用されているという感覚になる。
メンタルが傷ついても言わない。
攻撃は受動的で頼まれた仕事を中途半端にする、電話に出ないなど。
13.犠牲
頼まれた事を断れない。
誰かが苦しんでいるのを見るのがつらい。
他人より自分を優先するのは利己的だと考える。
一見良い行いをしているが、自分の感情や欲求を犠牲にしているため疲労感や虚無感を抱きやすい。
誰かが苦労するより自分でやった方が早い。
自分のことは誰も助けてくれない事による不満が募る。
HSP気質の人は該当しそう。
14.承認
他人からの評価を過度に重んじる。
評価される為に自分の感情を無視してしまう。
業績、金銭、外見などへのこだわりが強い。
他人と一緒にいる時にリラックス出来ない。
意見が違う人に感情的になりやすい。
モチベーションが周囲の反応に左右される為、好きでもない仕事をしたり、表面的な人間関係しか築けない。
15.悲観
人生の否定的な部分にばかり目を付け、ポジティブな側面を無視する。
大抵の事はうまくいかない、何か悪い事がおきるだろうという思考が強い。
ザ・マイナス思考。
楽観的な人に「現実を見ていない」と思う反面、羨ましくもありそのせいで脳が常にストレスを感じる。
16.抑制
感情を表現するのが恥ずかしい。
怒りで自分をコントロールできなくなる事に不安を抱く。
外からは理性的で堅苦しいように見られる。
内面を知られる事を恐れ、感情を押し殺しているので生きている実感が薄い。
他人の感情を知るのが苦手、弱みを見せないのと同様にポジティブな感情も抑え込む。
合理性を過度に重視。
子供など人前で自由に感情を表現する人を見ると不快になりがち。
17.完璧
高い目標を設定し、その為に努力をしなければならないと考える
所謂完璧主義。
その為常にプレッシャーに晒され心臓系の疾患に罹りやすくなる。
社会的に成功しても満足感がない。
常に時間が足りないと感じる、気分転換が苦手。
18.懲罰
過ちを犯した人は厳しく罰せられるべきだと考える。
基準を満たさない者への怒りや焦燥感が強い。
間違えた人を容赦なく責め立てる。
他人が犯した間違えをつい考える。
自粛警察タイプ。
脚注(3):Young,Jeffrey E; Klosko,Janet S;
Weishaar,Marjorie E (2003) .Schema therapy:a practitioner's guide. New York: Guilford Press.
ISBN 9781593853723.OCLC51053419
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